自分にあった投資方法を見つける
「つみたて投資」と「一括投資」、あなたに向いているのは?

近年、資産運用への注目度が高まってきています。現政権では「資産所得倍増計画」として、投資から得られる所得(資産所得)を倍増させる計画が掲げられ、具体策としても「NISA制度の恒久化」等が検討されています。国を挙げた取り組みにより、日本においても「貯蓄から投資へ」の流れが加速することが期待されます。
こうした機会は、これまで資産運用をされたことがない方にとっても、行動を起こすきっかけになっているのではないでしょうか。今回は、資産運用を始める際に知っておくべき「つみたて投資」と「一括投資」の特徴についてお話していきます。
「つみたて投資」と「一括投資」のメリット・デメリット
「つみたて投資」と「一括投資」には、下表のようなメリット・デメリットがあります。
つみたて投資 | 一括投資 | |
---|---|---|
・投資タイミングを気にしなくていい ・開始時点より価格が上昇しなくても、利益になる可能性がある ・振れ幅(リスク)が小さい ・小額から投資ができる | ・短期で大きなリターンを得られる可能性がある | |
| ・短期の相場上昇が狙いづらい ・株式の場合、単元株になるまで株主優待が受けられない | ・投資タイミングに左右されやすい ・振れ幅(リスク)が大きい ・相場の影響を受けやすい |
これらのメリット・デメリットを、過去の日経平均株価でのシミュレーションを通じて確認してみましょう。
「つみたて投資」と「一括投資」の運用成果を比較
【図表1】は、日経平均株価の過去の値動きで「つみたて投資」と「一括投資」の運用成果を比較した場合のシミュレーションです。1990年から2022年までの期間を対象に、各年の年初に運用を開始し、15年間または20年間運用を行ったとします。
「つみたて投資」の場合は、毎月1万円を月末に投資し、「一括投資」は、「つみたて投資」のトータル投資金額である180万円(15年間)、240万円(20年間)を各年初に一括で投資した前提で比較しています。
比較開始時期とする1990年は、前年末に最高値を記録した日経平均株価が下落を始め、株価低迷の時代に入っていくタイミングです。
【図表1】15年間・20年間投資した場合の騰落率(期間:1990/1~2022/1)


【騰落率:15年間】
- つみたて
- 一括
最大
- 96.3%
- 177.0%
最小
- -43.2%
- -69.4%
平均
- 25.9%
- 12.5%
【騰落率:20年間】
- つみたて
- 一括
最大
- 111.4%
- 170.1%
最小
- -34.4%
- -72.6%
平均
- 36.4%
- 8.0%
(注1)積立方法:毎月末に1万円分、使用データ:日経平均株価、期間:1990年1月~2022年1月
(注2)上記の計算例はあくまでも一定の条件をもとに試算した結果であり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。なお、上記の比較におけるパフォーマンスの優劣は条件設定により変わります。
(注3)手数料・信託報酬等のコストは含んでおりません。
(注4)算出した数値はオンアドが独自に算出したもので、日本経済新聞社は一切関わっておらず、責任を負いません。
※日経平均株価は日本経済新聞社の著作物です。
(「日経平均プロフィル」(日本経済新聞社の指数公式サイト)のデータをもとにオンアド作成)
「つみたて投資」の騰落率は、いずれの期間も「一括投資」より小さく、平均は「一括投資」よりも大きくなっています。
「一括投資」の騰落率は、タイミングによって大きくマイナスになることもありますが、「つみたて投資」の2倍以上の成果が出る年もありました。ちなみに、2003年1月からの15年間の投資では、量的緩和を起点とした上昇相場を含んでいたこともあって、「つみたて投資」を大きく引き離しています。
ここまでご説明した通り、どちらの投資手法にも一長一短があります。
時間を味方につける「つみたて投資」
相場の予測は長期になるほど不確実性が増し、一括投資の場合は相場状況の確認や保有銘柄の見直し等、専門的な知識が必要になってきます。一方で、「つみたて投資」は時間とリスクを上手く分散し、時間を味方につける運用手法になるため、専門的な知識がなくても効率よくリターンを上げられる可能性が増します。
つみたて投資において重要なことは、継続して買付けを行っていくことです。相場急落時は誰もが不安になり、投資を止めてしまいがちですが、ドルコスト平均法の効果がより発揮される時期でもあるのです。
【図表2】は1990年から2022年の期間、途中でつみたてを止めずに継続したシミュレーションになります。日経平均株価は、投資開始時点の株価まで戻っていませんが、「つみたて投資」を継続することで大きく利益が出ていることがわかります。
【図表2】1990年1月~2022年1月の期間つみたて投資を継続した場合の運用成果

(注1)積立方法:毎月末に1万円分、使用データ:日経平均株価、期間:1990年1月~2022年1月
(注2)上記の計算例はあくまでも一定の条件をもとに試算した結果であり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。なお、上記の比較におけるパフォーマンスの優劣は条件設定により変わります。
(注3)手数料・信託報酬等のコストは含んでおりません。
(注4)算出した数値はオンアドが独自に算出したもので、日本経済新聞社は一切関わっておらず、責任を負いません。
※日経平均株価は日本経済新聞社の著作物です。
(「日経平均プロフィル」(日本経済新聞社の指数公式サイト)のデータをもとにオンアド作成)
まとめ
今回は、「つみたて投資」「一括投資」どちらの投資手法にもメリット・デメリットがあり、一律にどちらが良いという訳ではないということをお伝えしました。どの投資手法を選択するかは、皆さんの投資経験や目的、投資に回せる資金や期間にあわせて考えていくことが重要です。
以下に、筆者が考える「つみたて投資が向いている人」「一括投資が向いている人」の特徴をまとめておきます。皆さんが自分なりの投資手法を見つけるにあたって、本稿が参考となりましたら幸いです。
-
つみたて投資が向いている人
- いつ投資を始めたらいいか分からない
- 極力マイナスは避けたい
- 少しずつでも運用を始めたい
-
一括投資が向いている人
- 投資に自信がある
- リスクが大きくても利益を重視したい
- まとまった資金がある
ご留意事項
本稿は、如何なる意味におきましても、将来の成果を示唆または保証するものではございません。最終決定は、ご自身の判断で行ってください。
本稿は2022年9月時点の情報に基づいて執筆しております。
また、本稿の一切の権利はオンアドに属しております。事前にオンアドの承諾を得ることなく、複製・転載・転送等の行為は固くお断りいたします。