簡単に実践できる!株式注文のコツ

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株式の取引経験がある方は、注文画面で求められるあらゆる選択に悩まれたことがあるのではないでしょうか。それらの内容が少しわかるだけで、注文の幅が広がります。

本稿では、株式の注文にフォーカスを当てて、出し方や注意点について解説していきます。

株式注文の種類

株式の注文には大きく分けて「成行」「指値」「逆指値」という3つの方法があります。

 

■ 成行(なりゆき)

株価を指定しないで注文する方法で、取引が成立しやすいという特徴があります。「目先の細かな値動きにはこだわらず、今くらいの値段で売買したい」もしくは、「すぐに売買を成立させたい」ときに使われます。

※ 米国株式には制限値幅がないため、成行注文には注意しましょう。日本の株式市場では、一日の売買における値動きの幅が制限されていますが、米国株式市場は制限値幅がない為、想定外の価格で売買が成立する可能性があります。
(ドイツ、イギリス、フランス、中国なども制限値幅なし)

 

■ 指値(さしね)

株価を指定して注文する方法です。買いの場合には指値以下で、売りの場合は指値以上で取引されます。一方で、希望の株価にならなかった場合は、取引が成立しないことがあります。「自身の相場観があり、どうしても希望の株価で売買したい」「投資金額が決まっているので、この株価以下で買いたい」ときなどに使われます。

 

■ 逆指値(ぎゃくさしね)

希望の株価以上になったら買い、以下になったら売りというような注文方法です。「上昇局面で買い時を逃したくない」「下落局面で損を限定したい」ときなどに使われます。

※ 証券会社によっては逆指値の対応をしていない場合があります。

「歩み値」で相場の流れを捉える

「歩み値(あゆみね)」とは、取引時間中の株価を時系列で表したものをいい、【図表1】のように、左側に時刻、真ん中に出来高、右側に約定値(株価)というような形式で表示されます。「赤色は上昇、青色は下落」を表します。

※ 証券会社によって表示形式・色は異なります。

 

歩み値は、対象の株がいつ、どれぐらい、いくらで約定したのかを時系列で確認でき、相場の流れを読み解くヒントが詰まっていますので、注文の種類や価格を決める際に参考になります。

その日の株価の動きが確認できるのはもちろん、売買高が多くなった時間帯とその時間に発表されたニュース(経済指標の発表や企業の決算発表など)を見ることで「対象の株に影響を与えた要因」なども知ることができますので、上昇や下落が一過性なのか、継続性のあるものなのかを判断する際に役立ちます。

【図表1】歩み値のイメージ図

 

注文の前に「板」を確認

「板」とは、銘柄ごとに表示される、現在の買い注文と売り注文の一覧表のことをいいます。「成行で注文したらいくらで成立しそうか」「指値の場合は希望の価格に届きそうか、注文期間を長くしておくべきか」などを決める際に参考にします。

 

【図表2】は取引時間中の株式の板を表しています。左側に売り数量、真ん中に株価、右側に買い数量が表示されます。証券会社のオンライントレードなどで確認できます。

※ 反映がリアルタイムではないサイトもあります。

【図表2】株の板(イメージ図)

ここでひとつ例として、上記のA社株の買い注文を出した際に、板がどのように動くかをご説明します。【図表3】は、A社株を1,003円の「指値」で15,000株の買い注文を出して成立した際の動きを表しています。

【図表3】注文前後の板の見え方

ここから、私が証券会社にいた際に気を付けていた注文方法や相場の流れを読むヒントを一部ご紹介します。

 

「厚い板」に気を付ける

「指値」を考える前に、板の「厚い」「薄い」という言葉を覚えておく必要があります。注文株数が多いことを「板が厚い」、その逆を「板が薄い」といいます。

 

【図表4】の売り数量を見ていただくと、999円の板がその他の価格帯に比べ厚くなっていますが、この場合999円以上の売指値が成立するには時間がかかる可能性があります。早めに成立させておきたい場合は998円以下での指値を検討すると良いでしょう。一方買い数量を見ていただくと、993円の板がその他の価格帯に比べ厚くなっています。この場合993円以下の買指値が成立するには時間がかかる可能性がありますので、早めに成立させておきたい場合は994円以上での指値を検討すると良いでしょう。

 

ただし、対象の株式に影響のあるニュースが出た後は売買が活発になり、「厚い板」を上に抜ける、下に抜けるなど株価が大きく動く起点になることがあります。現在の板だけで注文価格を決定するのではなく、直近の株価の動きや売買高、歩み値なども参考にして総合的に判断することが重要です。

【図表4】「板」の違いのイメージ図

まとめ

株式投資において成功するためには、事前に戦略を立てるだけでなく、その戦略に沿って売買することが大切です。ご自身の考えを着実に実践するためにも、ここでご紹介した注文方法や「指値」のコツをご活用いただいてはいかがでしょうか。

本稿が、皆さまの株式投資を行う上での一助になれば幸いです。

ご留意事項

本稿は、如何なる意味におきましても、将来の成果を示唆または保証するものではございません。最終決定は、ご自身の判断で行ってください。

本稿は2022年11月時点の情報に基づいて執筆しております。

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